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プレイリポート:ロードス島戦記 ~灰色の魔女~:DAC2019 #DAC2019 #DnDj

 2019年11月に開催されたコンベンション「DAC2019」にて、「ロードス島戦記」をD&Dでプレイしてきました。

 

 なお、このエントリには、「ロードス島戦記」の主に第一巻「灰色の魔女」に関する重大なネタバレが含まれますので、いらっしゃらないとは思いますが万一これを履修していない場合、速やかに履修の上お楽しみください。

 

 また、記憶で描いてるので細部は違うかもしれません。

 気にしないで心に秘めてください。

 

 

 

 なお、当日のTwitterのまとめはこちら

▼ハウスルール
 このセッションでは3つのハウスルールを使用しています。

 

・Todo
 原作つきのセッションなので、基本的には原作の流れを拾いつつ「もしも」を楽しむため、チャプターごとに「やることリスト」を設定しています。
 そのチャプターにおける「メインTodo」をクリアすると、次のチャプターに進みます。
 たとえば「カーラの肖像画を見る」「帰らずの森を通り抜ける」「フィアンナ姫を救出する」などで、これをやらないと先に進めないものです。
 加えて、すべてのチャプターには「サブTodo」が設定されています。
 こちらは「やらなくてもいいけど、やると原作っぽさが出るイベント」を収録しています。
 ロードス島戦記は原作小説、原作リプレイに加えて、OVAやゲーム、舞台など、さまざまな媒体で展開されていますので、さまざまな派生イベントがあります。それらが主に収録され、これをクリアすると、後述の「チームインスピレーション」を得ることができます。
 例えば「パーンが家を焼く」「ギムが死亡する」などです。

 Todoのほとんどはかなり抽象的に書かれており、曲解してもクリアとなります。

 例えば「パーンが家を焼く」は、パーンが自分の家ではなく村長のフェルマーの家に火をかけてもクリアとなります。

 

・チームインスピレーション
 「サブTodo」をクリアした場合、「チームインスピレーション」を得ます。
 これは通常のインスピレーションと同じように使用でき、通常のインスピレーションに重ねる形で使用できます。
 通常のインスピレーションを使用した場合、有利としてD20を二個振っていいものを選ぶことができますが、さらにチームインスピレーションを重ねた場合、3個振って一番いいものを使うことができます。
 また、自発的に「一番低いもの」を選ぶこともできます。
 これは原作再現したいとき(成功したいとき)に、D20があまりにも揺らぎが大きいので、揺らぎを制御することができるようにするものです。
 プレイヤーキャラクターには、後述の「集中力」があるので、主にNPCに使ってあげる想定でした。具体的に言うと一騎打ち。

 

・集中力
 プレイヤーキャラクターが持つオプションです。通称「根性」。
 原典のロードス島リプレイ(文庫)に登場していたので投入。
 使用することで部分アクション(完全なアクションを得ると、ファイターの怒涛のアクションが霞むのでこうしましたが、処理がめどいのでアクションでよかったかも)を得るか、失敗した判定を難易度丁度での成功にするか、成功した判定の出目を20にするか(実質気絶時のセーヴ用を想定)の、いずれかの効果を得られます。
 一人につき各戦闘遭遇(ミニチュアを出してからしまうまでを一回の戦闘遭遇と定義)で1回(1日目のパーンはレベルが1低いので2回。ギムは1高いので0回。二日目はレベルが均等になり2日目なので全員2回。2日目を2回にしているのは、1日目は2日目向けであまり歴史が動くと困るので安定してもらって、2日目には歴史が変わってもいいので暴れて欲しい、という意図を言外に伝えるためです。意識誘導ですね。)
 集中力という名前だけでちょっと笑えるのでいいかなって思いまして……。

 

 

 これらのハウスルールを利用してセッションを運営しました。
 集中力とチームインスピレーションは普通のセッションに導入してもいいかなぁ……という感じです。
 インスピレーションを「自分のために得る」のが、遠慮がちなプレイヤーにとっては困難だったりするので、いっそパーティで得たインスピレーションを全部チームのものとしてごたまぜに管理してしまった方がいいのかも……? みたいな。
 効果は大して変わんないし。
 DMから見たら、インスピ使おうとD20を何個振ろうと1個振って出た20も、5個振りして出た20も価値が変わらないので……。プレイヤーからみると活躍したい時に安定させれるので、キャラをかっこよく演じたい時にはたいそう有用なんだけども、演出目的だと正直2個じゃ足んないんだよねぇ……。
 なのでDM目線だと「いいよいいよ、いっぱい振れよ。ここは失敗したくないだろう? わかる! わかるよ!」なのである……。

 

 

▼チャプター1:炎の旅立ち

 

 ロードスという名の島がある。
 アレクラスト大陸の南に浮かぶ辺境の島だ……。

 

 

 

 のナレーションでプレイ開始。(これをやりたかったからセッション紹介であのナレーションを使うのを避けたのだ! やっとできたー!)

 

 最初はウッド・チャックのシーンから。
 アラニアで王子誕生につき恩赦を与えられて放り出されたウッド・チャックは、手始めに道でスリを試みる。


「あっ」
「あっ」


 すっかり腕が鈍っていることを知ったウッドは、盗賊ギルドの幹部に収まれないかとギルドに向かうが、もちろんケンもホロロにあしらわれるのだった。


「あのー。ここからここまで職歴が白紙なんですけど、何をなさっていたのですか?」
「「ウギャー!(プレイヤーたちに大ダメージ)」」
「仕方ないよ……。これはサークレットに手を出すのやむ無しだよ……」


 かつての子分に会いに行くと、彼はすでに出世をはたしてギルドの世話役の一人になっていた。


「困りますよウッドさん。俺ももう責任あるんで……」
「「ウギャー!(プレイヤーたちに大ダメージ)」」

 

 ダメージを受けつつ、元子分からアラン近くの古い館におかしな連中が住み着いた情報を得たウッド・チャックは、戦える仲間を求めて酒場“水晶の森”亭へと向かった……。

 

「仲間がいる。それも盗賊じゃない。腕の立つ戦士がよ」


 続いて帰らずの森のシーン。
 外の世界に興味のあるハイエルフのディードリットは、ある人間の狩人とのふれあいの後、エルフのエスタスの助言を得て、人間の世界へと旅立つ。

 

「エスタスってどんな奴でしたっけ」
「ええと、ディードリットの兄貴分的な感じで、出来が良くてッて感じだったかと……」
「あ! じゃあエスタスのロールプレイをお願いします!」
「いきなり?! ええと、人間の世界を見分する使者として、長老たちにディードリットを推します」

 

 人間の世界に興味を持ち度々トラブルを起こすディードリットに手を焼いていた長老たち。
 折よく持ち上がった「外の世界を調べるために使者を派遣しよう」という話に合わせて、エルフの青年エスタスは、これにディードリットを推す。

 

「彼女は子供なのです。実際に人間の愚かで醜い面を見てくれば、きっと学習し、エルフとしての自覚をもって戻ってくるでしょう」

「ありがとうエスタス」

「私にも、今の君と同じような時代があったのだよ」

 

 かくしてハイエルフの乙女ディードリットは、ロードス島に現れる。
 見るものすべてが珍しい中、彼女は人間の街を訪れた。そこではどうやら、騒々しいお祭りの最中らしい……。


 さて、ところ変わってアラニアの北にあるターバでは、一人のドワーフが旅立とうとしていた。

 

「旅に出るというの」

 

 ターバにある大地母神マーファーの神殿で、最高司祭ニースがドワーフのギムに問う。

 

「やっぱロードス島戦記がはじまる感あるよね。このセリフ」

「そうじゃ。わしも外の世界に興味があってな。外を見て回ろうと思う」

 

 そうかたくなに言うギムに、ニースは跪いて首を振った。

 

「レイリアのことに責任を感じているのはわかるわ。でもあれはあなたのせいじゃない。そうでしょう?」
「……」
「わたしはもうあの子のことはあきらめているのです。マーファにも何度も問うたけど、奇妙ななぞかけがかえってくるばかり」
「マーファはなんと答えたね?」
「“生きてはいるが存在しない”」
「ふむ」

 

 鉱山で怪我をしたギムの手当のためにニースが神殿を離れたすきに、ニースの娘レイリアは姿を消してしまった。
 そのレイリアを探しに行くという。
 一度決心したドワーフを心変わりさせることができないことを、ニースは知っていた。

 

「何。おぬしの放蕩娘の一人くらい、捕まえて帰って来てやるさ」
「まずはどこに?」
「ザクソンに行こうと思う。古い知り合いの魔術師がおるでな」

「あ、話がいい感じだから、このままザクソンでスレイン先生出しちゃいましょうか」
「ひえっ?!」


 アラニアの北。ターバのみなみにある小さな農村、ザクソン。
 賢者の学院で学んだ魔術師スレインは、そこで子供たちに読み書きを教えるなどして暮らしていた。
 そこにやってきたドワーフのギムは、彼の書庫からなぞかけの本などを漁っている。

 

「ギム。一体どうしたのですか。あなたが本など」
「興味がわいただけじゃ」
「はぁ」

 

 ちょうどそのころ、スレインとギムのいるザクソンでは一つの問題が発生していた。

 邪悪な妖魔であるゴブリンが、村のほど近くに住み着いたのだ。

 

「だからオレが倒してやると言っている!」

 

 戦士パーンが幼馴染の神官エトとともに、ザクソンの酒場に集まった村人たちに一席をぶちあげる。

 ゴブリンを強力して退治しようというわけだ。

 しかし村人は乗り気ではない。

 

「ええと、狩人のザムジー、木こりのライオットが反対する」

「よく名前覚えてましたね!」

「昨日、飛行機で復習したからね」

「じゃあオレは言うよ。オレの親父は一人で三十人の山賊に立ち向かった。あんたたちはその親父の勇気の十分の一も持ち合わせちゃいないってことか」

「酒場の事情通モートが鼻を鳴らすね。その話なら聞いたことがあるぞ。お前の親父は任務を放り出して逃げる途中山賊に殺されたのではなかったかな。そのうわさが嘘だというなら、お前のその鎧からヴァリスの紋章が削り取られてるのはどういうわけだというんだ」

「きさま! と激昂するよ!」

「じゃあエトはそのパーンを抑えるね。だめだよパーン」

「……もういい! ゴブリンどもはオレたちだけでなんとかするさ、と言って立ち去る」

 

 大股で出て行ったパーンとエトは、さっそくゴブリンの巣くう洞窟を襲いに行くが……。

 

「やはりオレたちだけでは不安だ。しかしこの村にはスレイン先生という魔法使いがいるじゃないか。彼に助力を頼んでみよう」

「このパーン、慎重だ!」

「サブTodoに『パーンが死ぬ』があるが、これをクリアするわけにはいかない」

 

 パーンとエトは村はずれにあるスレインの家を訪ねる。

 

「はぁ。ゴブリンですか。と答えながら、かつて見殺しにしてしまった盗賊ギルドに挑んだ戦士のことを思い出します」

「ゴブリンだと! あの薄汚い妖魔がこんなところにもおったか! 何をしておる。スレイン。ゆくぞ! と、ギムはがぜん乗り気になりますよ!」

「ラッキー」

 

 かくしてスレインとギムを伴って、パーンとエトはゴブリンの洞窟に向かう……。

 

「戦闘をしますけど、ディードリットとウッド・チャックが登場できないので、お二人にはゴブリンを担当してもらおうかと」

「よしきた。パーンを殺してリプレイルートにしてやる」

「やめて!」

 

 ▲たいへん危なかった

 

 そこにいたのはゴブリンだけではなく、ホブゴブリンも交じっていた。

 スレインの眠りの呪文も決まり、パーンは運よく気絶で済んだのだった。

 

「では、パーンはスレインに『実は武者修行の旅に出ようと思うのです。そこでぜひスレインにも一緒に来てほしい』と誘います」

「仕方ありませんね。ギムも旅に乗り気のようですし。あなたは何をしでかすかわかりませんから」

「ところで、家は焼いておく?」

「よし、焼こう」

「あの家焼き、かっこいいけど近所の人めっちゃ困るよね」

「夜に、うわ、パーンの家が燃えてる! 火事だ! ってなるよね」

 

 ザクソンを旅立った四人は、王子誕生のお祭りに沸くアラニアの首都アランに到着する。

 スレインはまずは、と、出身の賢者の学院を訪れた。

 しかしそこは、ほとんど廃墟のような有様だった。

 

「えーと、なんつったっけ……賢者の学院に残ってた導師……ラスカルだっけ?」

「ラスカルはあらいぐまだ。ラルカス導師はバグナードにギアスをかけた人で、今アランの賢者の学院に残ってるのはジャグル老師」

 

 ジャグル老師から、スレインが立ち去った後の賢者の学院に何が起きたかを聞く。

 学院を追放された魔術師バグナードが復讐をはたし、ラルカス師をはじめ学院の魔術師たちはほとんどが殺され、貴重な書物や魔法の品物は奪われるか焼かれてしまったという。

 スレインは衝撃を受けて学院を後にした。

 

 一方パーンたちは人だかりができているところに出くわす。

 どうやら喧嘩のようだ。一人の少女に男たちがつかみかかっていた。

 

「エルフだ、と耳打ちします」

「パーンはエルフをよく知らないから、喧嘩に割って入る!」

「割って入ってきた戦士を攻撃する! ……はずれたか」

「鎧のおかげだけどね」

 

 エルフの少女はディードリットと名乗った。

 

「自分の攻撃をよけた戦士に興味を持って、一緒に飲むことにするよ」

「じゃあベロンベロンになる! オレはさぁ……ヴァリスに行って、王様……いや王じゃなくていいや。勇者とか英雄ってやつになりたいんだよォ」

「ふん。だらしない。エルフの毒にあてられおって」

「まぁまぁ。スレインが宿をとってるし、そこに落ち着きましょう。よかったらディードリットもどうですか?」

「おぅ、そうしろよ! 旅は楽しいぜ……」

 

 パーン、エト、スレイン、ギムに加えてディードリットが、アランの宿屋水晶の森亭に落ち着いたところ、その店に一人の盗賊がやってくる。

 

「戦士に魔術師、神官にエルフ、ドワーフまでいる。おあつらえ向きだ……。と、ウッド・チャックはパーンたちの席に近づくよ」

 

 ウッド・チャックは盗賊ギルドでもらった情報をもとに、パーンたちを誘う。

 

「そこに行けば、賢者の学院から奪われた品物も取り戻せるかもしれないぜぇ。財宝の取り分は俺が5、あんたらが5でどうだい」

「邪悪な連中が相手なら、オレは文句はないぜ。だが悪の計画に加担させるつもりなら断る。オレは正義のために振るう剣しかもっていないんだ」

「もちろん、あんたの経歴を傷つけるような話じゃないさ。名誉の戦いだぜ」

 

 結局パーンたちは、このウッド・チャックの誘いに応じて、怪しい連中が住み着いたというアラン近くの古い洋館に向かうのだった……。

 

 

 

▼チャプター2:アラニアの黒い影

 

 くだんの洋館に行ってみるた一行。

 茂みからその館を覗くと……入口にいたのはオーガーと、そしてダークエルフだった。

 これはいかにも邪悪な連中、と、パーンも納得して攻撃を開始する。

 

「でもゴーストサウンドとかは準備してないんですよねぇ。メイジハンドで向こうの枝をゆすってドラウ……ダークエルフの気を引けませんかね」

「≪はったり≫の判定でいいんじゃないかな」

「じゃあインスピレーションで……成功!」

「ドラ……ダークエルフはオーガーを残して音のほうを確認しに向かったよ」

「これでサブTodoの『ダークエルフの注意を引く』をクリアですね。チームインスピレーションを獲得しました!」

「よし、オーガーは任せろ。その間にダークエルフは頼む」

「大丈夫かい?」

「大丈夫だ。行くぞ!」

 

 ▲メイジハンドで注意を引くスレイン

 

 ▲強敵オーガーに立ち向かうパーン! なおオーガーは出目がいまいちで割とあっさり倒される…。

 

 ▲館の中にいたホブゴブリンたちも、外の騒ぎを聞いて戦いに参加する。

  建物は二階建てになってて、一階と二階はバラせるように作ってます。

  まぁ、建物の中の部屋を全部回ることはあんまないんですけども。

 

 ▲ギムとディードリットの共同戦線! インヴィジビリティを駆使するダークエルフを追い詰める。

 

 一階を掃討した一行は、さらに二階に陣取っていた魔法使いを倒した。

 

「あれ? この魔法使いって」

「カーラの手紙の相手か。リプレイとかにはいなかったよね」

「文庫のリプレイだとザールって名前だった……それはそれとして、この部屋のテーブルには書類があって……それから大きな肖像画が」

「カーラだ!」

「オホン。手紙にはこうあるね。『こちらはすべて順調です。連絡はいつもの手段で。 ――カーラ』。それからこっちは、アラニア国王を狙った暗殺計画の計画書だ」

「すごいぞ。じゃあくな計画を食い止めたんだ!」

 

 興奮するパーンを後目に、ギムはひとり、肖像画を見つめていた。

 

「……似ている」

 

「いいなぁこれ!! これこれ!!」

 

 ▲「似ている……」

 

 一行はほかの部屋にあったゴーレムのなぞかけに答えて魔法の剣を手に入れる。

(「限りありて果てなきものは?」 答えは数字や色など、無限にあるけど何かで定義づけしないと扱えないものならなんでも)

 その後アランに戻った彼らは、アラニア王国に暗殺計画を届け、金貨の袋を報酬として受け取った。

 

「俺の腕前は見ただろ。役に立つことはわかったはずだ。俺もあんたらの旅に同行させてくれよ。と、ウッド・チャックは自分を売り込むよ。成り上がる道がありそうだ」

「酔って機嫌のいいパーンはもちろん歓迎する。でも盗みはナシだぜ」

「も、もちろんだぜぇ」

 

 と、そこにある報せが届いた。

 

「宿の扉が音を立てて開いて、男が駆け込んできて怒鳴った。『たいへんだ! カノンが、カノンが攻め滅ぼされた!! マーモのベルドがやったんだ!!」

 

 ロードス島に、戦乱の嵐が吹き荒れようとしていた……。

 

▼チャプター3:帰らずの森を抜けて

 

 カノン王国滅亡の報を受けたアラニア王国は、暗黒の島マーモに対して攻撃を加えるかと思われた。

 しかし、アラニア王カドモスのくだした命令は、国境を固く閉ざし守りに徹することだった……。

 

「パーンはいてもたってもいられなくなります! 『ありえない! 邪悪な侵略に対して何もしないなんて! だがヴァリスなら……ヴァリスのファーン王ならきっと立ち上がるはずだ』」

「じゃあどうするの?」

「もちろんヴァリスに行くさ。そしてファーン王の戦列に加わるんだ」

 

 しかし、アラニアからヴァリスにかけては帰らずの森という、入ったものは出てこれない恐ろしい魔法の森が横たわっている。

 さりとて迂回すれば時間がかかる。

 

「帰らずの森を通ってでもオレは行くぜ!」

「何を無茶を言ってるんですか。無理ですよ。チラチラ」

「そうだよパーン。僕だってマーモは許せないけど。チラチラ」

「じゃあディードリットは立ち上がって、帰らずの森を通っていきましょう、と提案するね。『エルフに、古代も現代もないのよ』」

「でた!」

 

 帰らずの森を抜けるには<魔法学>【魅力】の判定が必要。

 結構厳しい判定だが、「植物の精霊ドライアードに惑わされる」と、チームインスピレーションを得ることができ、それを使えば比較的安全にクリアできる。

 

「金だ! 金だぁ! ……葉っぱだ! 成功!」

「親父……。成功!

「成功してるのに失敗してる感じがする」

 

 帰らずの森を抜けたパーンたちは、ついに英雄王ファーンの治めるヴァリス王国へと足を踏み入れた。

 しかし一息つく間もなく、彼らは新たな動乱に巻き込まれてゆくのだった。

 

▼チャプター4:フィアンナ救出

 

 ヴァリスに到着したパーンたち一行はとりあえず宿に落ち着いて一息入れることにした。

 宿の前には立派な馬車が停まっていたが、帰らずの森での体験に疲れた彼らがそれを気にすることはなかった。

 

▲宿屋は二階建て。二階が宿、一階が酒場。

 

 

「あ! この女は!」

「〜♪ フードを目深にかぶった女は、雑多な装備を付けた傭兵と思しき連中の雇い主のようだね。彼女はパーンの目線を感じると、軽く会釈をする」

「会釈されよう」

「と、そこに! 扉が荒々しく開けられ、白い鎧の一団が飛び込んでくる!」

 

 宿に押し入ってきたのはヴァリスの聖騎士たちだった。

 その鎧は、パーンのものと同じだ。

 

「聖騎士たちは『おのれ魔女め! われらの姫を返せ!』と叫んで、そこの女性に斬りかかる。傭兵たちは応戦の構えだ」

「姫だって?」

「『そうだ。その女はフィアンナ王女をかどわかしたのだ』君らはどうする?」

「ウッド・チャックはすぐさま隠れる」

「さすが抜け目ないね」

「オレは戦うぞ。ヴァリスの聖騎士なら正義がどちらにあるかは明白だろう」

 

 魔女は階段を上がると、乱戦を見下ろした。

 

「では、女性はちょうどいい呪文がなくて専用魔法として作ったスタンクラウドを唱えるよ。全員【耐久力】セーヴをして」

「オレは隠れてるんだけど」

「ならウッド・チャックは範囲に入らない」

 

 呪文を受けた聖騎士の生き残りや傭兵を含むパーンらは、たちまち体が動かなくなり意識を失ってしまう。

 麻痺の呪文のようだ。

 しかしタフなドワーフであるギムは呪文に対する抵抗に成功する。

 

 

 

「あ、これ面白いなぁ。ギムだけが起きてるのか」

「う、うーん。じゃあわしは『お前は、レイリアなのか?』と、問いかける」

「魔女は自分の呪文に耐えたギムを賞賛と驚きを込めた目で見るね。『いいえ。その娘はもういない』」

「では、お前は何者だ」

「私はカーラ。ロードスの平和を守るものよ」

 

 一方、そのやり取りを隠れてみているウッド・チャックは……。

 

「これ、ウッド・チャックは怪しむよね。あのドワーフ、実は敵と通じてるんじゃないか? とか」

「ギムがそんな頭が回るわけないでしょう」

「ディードは寝ている」

「グウ」

「ギムは『わしはレイリアを母親のニースのもとに連れ帰ると約束したのじゃ』と言って詰め寄る」

「ならカーラは首を振って『その娘はもういないと言ったでしょう』と返して……コーンオブコールドをギムだけ当たるように撃つよ」

「ウーン。気絶した」

 

 カーラは傭兵たちを起こし、パーンたちを二階の一室に閉じ込める。

 どうやらカーラは別の計画を遂行するために席を外すようだ。

 

「ウッド・チャックが見てるんだよね?」

「おう」

「カーラはまずパーンたちを閉じ込めた部屋に魔法のカギをかけるよ」

「合言葉は聞けるかな」

「もちろん。ラスタ、だ」

「これ、リプレイだとラウラなんですよね」

「そのあとカーラは髪飾りから竜の牙を出して呪文を唱え、竜牙兵を作る」

「竜牙兵!」

「ドラゴントゥースウォーリア!」

「カーラは傭兵たちに『あの娘はしっかりと見張っておくこと。二階の冒険者はできれば殺さないように。でもやむを得なければ殺しても構わない』といいつけて宿を出て行った」

「さてどうするかな……」

 

 一人自由の身であるウッド・チャックは、まずは一階の手近な部屋に隠れる。

 そして床板を盗賊道具でそっと破り、二階のパーンたちがとらわれている部屋の隣に忍び込んだ。

 

「パーンたちが捕まってるのはここだな。かべごしにそっと声をかけるぜ」

「ややっ。ウッドのやつ、逃げたと思ったら助けに来てくれるなんて」

 

 ウッド・チャックはひとまず魔法のカギの合言葉を伝え、窓から渡ろうと考えるが、それでは部屋にあったパーンたちの武器を持っていくのが難しい。

 

「いっちょ騒いでくれ。その騒ぎに乗じてかなてこで壁を破る」

「よしきた」

 

 首尾よく合流した一行は、扉から出て一気に脱出を狙う。

 スレインがウェブの魔法で傭兵を丸め込んでいる間にスケルトンウォリアーをなんとか倒し、一行はなんとかカーラの手を逃れる。

 

 

 

 一階の石造りの部屋に、一人の少女が閉じ込められていた。

 

「フィアンナ姫だ!」

「フィアンナ姫を安心させるのは、誰かが<宗教>【魅力】の判定に成功してね。別にエトじゃなくても……」

「いいや! これだけは僕にやらせてください! インスピレーションもチームインスピレーションも投入して……成功! えーと、なんだっけ、ファリスの祈りの言葉で安心させます」

「では闇の中から『モイロス・ラーム』と」

「それそれ」

「『ファリスの司祭様がおられるのですか?』と、声が聞こえる」

「『いまだ神官の身分ではありますが』と、腕を広げて抱き留めます」

「話が早い!」

「ロードスRTA」

 

 

 フィアンナ姫を救出したパーンたちは、疲れた体に鞭打って馬車を奪い、一路ヴァリスの首都ロイドを目指す。

 一休みしたくても、いつあのカーラが戻ってくるかわからないのだ。

 

「ウッド・チャックはギムを油断なく見張っているよ」

「じゃあスレインは、どうしたんですか、ウッド、と話しかける」

「スレインはギムとは昔馴染みだったな……。いや、なんでもねぇ、と、ごまかす」

「パーンは何も気づかず『早くファーン王のもとに行こう!』と張り切るよ」

「『へへっ。褒美にありつけそうだな』とか言ってはぐらかして従う。もしギムが敵に通じていて俺らを陥れようとしてるなら、ウッド・チャックとしては守ってやらなきゃならないからな。こいつら世間知らずで騙され慣れてねぇし」

「あぁ、面白いなぁ、それ」

 

 ロイドへ向かう途中、背後から巨大な鳥に追跡される。

 

「あれはロック鳥ですねぇ」

「そんなはずないよ。きっと魔女が変身しているんだ!」

 

 そのエトの予想通り、舞い降りた巨鳥はあの魔女の姿に戻る。

 彼女は余裕の表情を崩さす、パーンたちをまずは賞賛した。

 

「魔女は感心したように言うね。『お久しぶり、というにはまだ時がたっていないわね。わたしを出し抜いた見事な手腕。感心したわ』それからこう誘う『どうかしら。不幸な行き違いはあったけれど、少し話をしない? 私の目的を聞けば、あなたたちも私が決して邪悪な存在ではないとわかるはず』」

「ギムの様子はどうかな」

「わし? ええと、何か思いつめたように魔女を見つめてる」

「『ええい、黙れ魔女め! オレたちはマーモの手先になんてならないぞ!』」

「『私はマーモの手先などではない。大いなる目的のために力を貸しているだけ……。あなたたいにも望むものをなんでも与えることができる。富、名声……美しい娘が欲しいならそれも。でも私はあなたたちとなら……そう、同志にもなれるとおもうけれど」

「金はウッドとしては心が動くな。でもどうせ」

「『邪悪と語る口などない! 去れ! 魔女め!』と、剣を抜く!」

「『ま、待てパーン』と、ギムは止める」

「『ギムの言うとおりです。勝ち目はありませんよ』ほら、えーと……(チラッチラッ)」

「あー。カーラは頭上にファイアボールの輝きをいくつも浮かべる。『仲間にならないならそれでいい。その娘を置いて立ち去りなさい。さもなくば、ここで躯を晒すことになるわよ。あの聖騎士たちと同様にね』」

「それそれ『すごい魔力です。わたしでは、あの輝きの一つか二つを作り出すためにすべての精神力を使い切ってしまうでしょう』と言って、それでも呪文の準備をする。どうせパーンは聞かないでしょうしね」

「エトはフィアンナ姫を励ます。『いいですか、わたしたちが食い止めている間にできる限り逃げてください』キラッ」

「点数を稼いでやがる」

 

 いよいよこれまでか、と思った時、ロイドの方向から馬蹄の轟が聞こえてくる。

 それはなんと、ヴァリスの聖騎士隊だった。

 

 

「助かった!」

「カーラはさすがにこの数は相手にできないと考えたらしい。『あなたたち、その運を大切になさい。でも決して過信はしないこと』と言い捨てて、マーファの魔法、ワード・オヴ・リコールを起動してその場を立ち去った」

「あれはマーファの信仰呪文ですよ。なぜ古代語魔法の使い手が」

「『なんだって、あれは信仰呪文なのか』と、ギムはスレインに聞く」

「『えぇ、それも高位の』ギムが魔法に興味があるのをいぶかしく思いますね」

「オレはそんなことより聖騎士たちの鎧を見つめてる。あの鎧とオレの鎧の何が違うんだろう……」

 

 一行は宮廷魔術師エルムに伴われて、一路ロイドを目指すのだった。

 

▼チャプター5:英雄王ファーン

 

 ロイドの王宮に通されたパーンたちはしばらく待たされた後、ついに英雄王ファーンのもとに通される。

 かつて魔神戦争のおりに最も深き迷宮に潜り魔神王を打倒した伝説の英雄その人である。

 

「『そのほうらが、我が娘を救い出してくれた者たちか。楽にしてくれ。娘は今、己の軽率なふるまいの罰として塔にて懺悔しており同席させられないが、わしは王としてではなく一人の父親として、そなたらに礼を言いたいのだ』と、ファーン王はずしりとした金貨の袋をまずくれる」

「へへ。ありがてぇ」

「パーンはしばらくじっとしてるけど、『ファーン陛下、お伺いしたいことがあります』と聞く。『私の父はヴァリスの聖騎士でした。名をテシウスと。聞かせてくださいませんか。私の父はどうして死んだのですか。母は何も語らなかった。人によれば、父の死は不名誉なものだったといわれている。臆病者と。私は本当のことが知りたいのです」

「じゃあファーン王はまず驚く。『そなた、テシウスの息子か』」

「はい」

「『なるほどのその甲冑はわれらが聖騎士のものだ。なんということだ。我が娘を助け出してくれたのがあのテシウスの息子とは』で、ファーンは玉座から降りてパーンのそばにきて膝をつく」

「おー」

「『テシウスにはすまないことをした。お前の父は確かに騎士のおきてに反した。彼はある砦を守る命令を受けていた。しかし山賊が、近くの村を襲ったのだ。テシウスは罪のない村人たちを守るため、騎士のおきてを破り馬を走らせ、そして戦って死んだ。騎士のおきてよりも尊い、まことの騎士の魂の持ち主だった。だがおきては厳格だ。騎士団は彼の騎士の位を剥奪せねばならなかった……』と、ファーンはパーンの手を取る。『だが騎士団のものはみなわかっておる。彼がまことの騎士だったということを。お前とお前の母には苦労を掛けたようだな。すまなかった』」

「『もったいないお言葉……』と感動する。そうか、親父の死は決して不名誉なものじゃなかったんだ」

「ディードリットは『よかったわね』と褒めるね」

「あぁ」

 

 一方、話はフィアンナ姫を誘拐した魔女の正体の話になる。

 

「『カーラ、と言ったのか』と、エラムがうなる。『陛下、その名に一つ覚えがあります。古代カストゥール王国末期の付与魔術師に、その名をとったものがありました。聞けば強大な魔法の使い手とか。あるいは……』で、ファーンは首を振る『まさか。ではその古代の魔法使いが生き残っているとでもいうつもりか』で、エラムは反論する。『しかし、万一そうだとしたら……マーモに加えて古代王国の魔法を相手どらねばならないということになるのですぞ』」

「おぉ、軍議だ」

 

 やはりいずれにせよカーラの正体を探らねばならないという話になる。

 もしもカーラの正体を知るものがいるとすれば、やはり魔神戦争の英雄である大賢者ウォートをおいてほかにあるまい。

 しかし遠見の水晶球を持つ彼は、モスの山奥に隠棲している。

 一刻も早くウォートを訪ねるには、恐るべきドワーフの大トンネルを通らなければならないのだ。

 

「ファーンやエラムは黙り込むね。なにせ今はマーモとの決戦を控えている。兵士に余裕はない」

「ここだ! オレは『もしよければ、その役目、オレたちにお任せくださいませんか』と申し出る! 『決戦前、騎士団は一兵たりとも無駄にはできません。オレたちはこれまでの旅で冒険には慣れていますし、員数外です』」

「ファーンは考え込むね。で、傭兵王カシューも口添えする。『陛下、この場で最もカーラとやらに詳しいのは、そやつを間近に見てさらに魔女を出し抜いた実績のある彼らでしょう』」

「さすがカシューは身分よりも実利主義者だね。俺このおっさん好き」

「ファーン王は『お前にはテシウスの後を継いで聖騎士にと思っていたのだがな』と前置きして『だが、騎士団に入るには試練が必要なおきてがある。テシウスの子パーンよ。わしの代わりにウォートに会い、カーラとやらの正体を探ってきてくれるか?』と問う」

「『一命に代えましても!』 このセリフすき」

「それをあとでフレイムでやってカシューに『それ嫌いだな』って言われて『はぁ、がんばります』になるパーンかわいいよね」

「かわいい」

「ファーンはパーンの返事におおいに喜ぶ。『皆の者! 今日は誠にいい日だ。正義を愛する砂漠の共がやってきてくれたばかりか、我が娘を救い出してくれた若者が、あのテシウスの息子で、彼もまた邪悪との戦いに加わってくれるのだ。わしは久方ぶりに心が晴れたぞ! 宴の準備をせよ!』するとロイドの王城に宴の席が設けられる。主役はカシュー王だろうけど、もちろん君たちの周りにも人だかりができるよ」

 

 

「でもウッド・チャックやギムなんかは取り残された感じになってるんだろうな」

「ギムにカーラのことを聞きたいけど……」

「……わしは何も知らん、と、つっぱねる」

「あまり深追いはしないでおこう」

「パーンはカシュー王と話してる。これで【パーンがカシュー王と話す】のフラグを開けてチームインスピレーションをゲットだ」

「カシューは気さくに話しかけてくる。『オレももとは流れの戦士だ。たまにはかつての自分のような男と話すのも一興かと思ってな。剣のけいこをつけてやろうか』」

「舞い上がってる!」

「ふん。勝手にしたら!」

 

 

▲抜け目なくフィアンナ姫の好感度を稼ぐエト

 

▲仲間外れ組

 

「宴の中でも、盗賊のウッド・チャックの周囲には露骨に人がいない。所詮盗賊だしね」

「じゃあ『ま、こんなもんよ』と軽口をたたきながらも内心で、オレのやったこととパーンのやったことに何か違いでもあるのかよ……と、毒づいてる」

「カーラゲージためてる!」

 

「宴の中央で、ファーン王とたたえるために『六英雄のサーガ』が語られるよ。これは後の伏線だから、ちょっと朗読するね。みなさんお手元のテキストなどをご参照ください」

「あ! 新しく出たのと当時もので言い回しが微妙に違う!」

「まじでー」

 

 六英雄のサーガは、ファーンらが魔神を打倒した魔神戦争を歌ったものだ。

 

 ――かつてロードス島に魔神たちが現れ、ロードスじゅうの人々が団結してこれと戦った。

 彼らはついに最も深き迷宮へ魔神たちを追い詰め、迷宮に百の勇者が挑み、そして六人の英雄が生き残り、魔神王を倒した。

 一人は騎士。ヴァリスの王となった英雄王ファーン。

 一人は戦士。魔神王を倒しその剣を奪い、そして心を奪われたマーモの暗黒皇帝ベルド。

 一人はドワーフ。失われたドワーフの王国最後の王フレーベ。

 一人は魔術師。知らぬことなき大賢者ウォート。

 一人は神官。大地母神マーファの乙女ニース。

 最後の一人は名も知れぬ魔法戦士。彼は魔神を倒し、名も告げずいずこかへ去った――。

 

「はいここテストに出ますよ。具体的に言うと明日」

 

 宴で英気を養った一行は、翌朝さっそく魔窟・ドワーフの大トンネルへと向かうのだった……。

 

 なお、実際のセッションではここまでで1日目でした。

 1日目は2日目のためにあまりルートを外さずなるべくセーフティドライブでしたが、さて二日目はどうでしょう…。

 

▼チャプター6:ドワーフの大トンネル

 

 雨の中ドワーフの大トンネルを訪れたパーンたち一行。

 一刻も早くウォートのもとにたどり着くには、この危険なトンネルを抜けなければならない。

 

 ここでは、実際にダンジョンを踏破するのではなく、D&D4版の技能チャレンジに近いやりかたでいくつかのスポット戦闘を行って、ダンジョンをクリアする形式でやりました。

 

「ねぇ、【はぐれる】のTodoって」

「まぁ、アレだよね」

「ディードリットは罠に飛びつくよ!」

「待て! それはガーゴイルと戦った後だ!」

 

 

 襲い掛かるガーゴイルたち。

 一行の中で魔法の武器は、カーラの館で手に入れたパーンソードのみ。

 しかし所詮抵抗なのでボコボコなぐるとしぬ。

 

 

「じゃあ今度こそ、ディードリットは罠に飛びつきますね!」

「はい、手が離れなくなって別のところに連れ去られます」

「パーンが飛びついて一緒にはぐれるよ! ティード!」

「まぁ、あいつらなら大丈夫じゃろ」

「行こ行こ」

 

 仲間とはぐれたパーンとディードリットは、ドワーフの大トンネルの奥で巨大なドラゴンに遭遇する。

 

 

「そっとやり過ごしましょう」

「いや、オレがひきつけるからディードは逃げろ」

「何馬鹿な事言ってるの?! あ!」

「やるよねー」

 

 

 

 強大なドラゴンがったが、ディードリットのエンスネアリング・ストライクが決まり身動きできないところにほかの仲間も到着。

 パーンの剣がのど元に突き刺さり、ついにドラゴンは倒れた。

 

「あれ。意外とチョロかったな」

「なぜセーヴに成功しないんだ……うう……」

 

 パーンたち一行はドワーフの大トンネルを抜ける。

 向こうに見える石造りの塔に、大賢者ウォートが隠棲しているはずだ……。

 

▼チャプター7:大賢者ウォート

 

 ウォートの塔に向かう途中、冒険者風の一団に出会う。

 

「なんだお前たちは」

「貴様らがカーラ様にたてつく冒険者どもだな」

「カーラ様? カーラがここにきているのか?」

「我々はカーラ様に従うものだ。あの方の崇高な目的を理解しようともしない貴様らに、ここを通すわけにはいかん」

 

 彼らはカーラの協力者で、カーラの命令なしにここでパーンらを待ち受けていたらしい。

 

 

「戦いだね。偉大なるファリスよ! 太陽領域からファイアボール! 死ねぇ!」

「死ねって言ったね?」

「ノーノー。浄化です」

 

 カーラの手下を倒し塔を上った彼らを待っていたのは……。

 大賢者ウォートと、紫のローブをまとった美しい女性だった。

 

「カ、カーラ……! そいつから離れろ! とウォートに警告して剣を抜きます!」

「じゃあウォートは『ここで刃物は使わせんぞ!』と鋭く叫ぶ。カーラも動じる様子はなく、君たちに席を進めるね。『料理が覚めてしまうわ。あなたたちともう一度話したかったの』」

「話したかった、だと? マーモの手先め!」

「カーラは小さく首を振る。『あなたがたは勘違いをしているわね。前にも言ったけど、私はベルドの手下ではない。もっと大きな目的のために動いているの。それを聞けば、あなたたちも考えをかえるかもしれないわ』」

 

 

 一触即発の空気の中、魔女カーラは自分の目的と正体を明かした。

 かつてロードスを含むフォーセリア世界すべてを支配していた王国があった。

 名をカストゥール王国。

 偉大な魔法文明によって栄えた王国で、彼らは島を浮かせ、強大なドラゴンすらしもべとしたという。

 しかしある時、彼らが頼みとしていた魔法の塔が崩れ、奴隷として扱っていた魔法を使えない蛮族たちの逆襲を受ける。

 古代カストゥール王国は滅び、魔法使いたちは皆殺しとなり、フォーセリアは長く混乱と破壊、暴力の支配する世界となった。

 

「それがどうした」

「『わからない? 世界は必ず揺り戻す。一つの力が世界を支配し、その力が強ければ強いほど、揺り戻しも大きくなる。私はロードスを守ろうとしているの。あのような大破壊が起きないように、一つの勢力が力を持ちすぎないように、天秤を揺らし続ける……』カーラは語る。『揺れ続ける天秤は、長い目で見れば均衡と同じことなのよ。私は古代王国の悲劇を繰り返したくないだけ。わかったかしら? 私があくまでロードスの平和のために働いていることを。私だってこのロードスを愛している。私の仲間になりなさい。ロードスの平和を守りたいなら』。はいどうぞ」

「オレの答えは否だ。その画策のために何人の人が命を落としたと思っているんだ。一人の人間が破滅の運命を決めることはない! そんなことは神にでも任せておけばいいんだ!」

「パチパチパチ」

「アンチョコ見ながらやるTRPGって新鮮だな!」

 

 説得に失敗したカーラはウォートの前から立ち去った。

 彼女はもうベルドに協力はしないという。ウォートがカーラに協力しない代償である。

 もっともそれがなかったとしても、彼女の目的は達成されているので、これ以上干渉する必要はないのだが。

 一方のウォートはパーンらに食事を勧めた。

「さて、カーラの正体だったな」

 

「ウォートは『カーラとは古い知り合いじゃ。だがわしだけではないぞ。ファーンもベルドも、ニースもフレーベもじゃ』と話す」

「なんだって。じゃあ昨日聞いた六英雄のサーガに出てくる魔法戦士がカーラだったというのか」

「でもカーラはいったいどうやって長い時間を生きているというのです」

「よし、ギムは言うよ『それは、他人の肉体を乗っ取っているのではないかな』アレください、アレ」

「じゃあウォートはうなずく『そこの頭の良い酒樽の言うとおりじゃ』」

「頭の良い酒樽きた! キャッキャ」

 

 

 カーラの本体は肉体にはなく、サークレットに封じられている。

 もしカーラが倒されたなら、サークレットに潜むカーラは倒したものの肉体を支配し、新たなるカーラとなるのだ。

 

「『その方法で、レイリアを乗っ取ったというわけじゃな』と、旅に出た理由をみんなに今こそ説明しよう」

「なるほど。それであいつと知り合いっぽかったのか」

「気付いておったのか」

「まぁな。でもよぉ大賢者様。そのサークレットを逆に支配しちまうことはできないのかい? と、ウッド・チャックはフラグを立てておくね」

「ウォートは『危険な考えだぞ、盗賊よ。今までカーラとなったものはみな優れた勇者や英雄と呼ぶにふさわしいものだった』とくぎを刺す」

「カーラを倒す方法はないのか?」

「レイリアを救う方法じゃ」

「『あるにはある』」

 

 ウォートが言うには、生きたままカーラ……つまりレイリア……からサークレットを引きはがし、サークレットを破壊してしまえばいいらしい。

 しかしあの大魔女に近づき生きたままその額に手を伸ばすのは至難の業だ。

 そこでウォートは、秘蔵のマジックアイテムを出してきた。

 限られた時間、周囲の魔法を停止してしまう魔法のワンドである。

 これを起動し、その間にサークレットをはがして破壊すればいい。サークレットの誘惑もまた魔法であるから、それでカーラを滅ぼすことができるかもしれない。

 

「よーし。すぐにヴァリスに帰ろう。おっと、その前にウォートに聞いておこう」

「何を?」

「カーラの隠れ家だ」

 

▼チャプター8:英雄戦争

 

 ヴァリスに戻った一行はさっそくファーン王に事の次第を報告する。

 

「その前に……。ヴァリスに戻ったパーンには、真新しい白い甲冑が準備されているよ。侍従が『こちらを』と差し出してくれる」

「そうか、聖騎士の鎧か! さっそく着替える!」

「よかったわね」

「エトには司祭の衣装、スレインには真新しい賢者のローブが用意されている」

「ウッド・チャックには?」

「金貨かな」

「へっ……」

 

 カーラの正体を聞いたファーン王は驚くが、もうマーモとの戦に協力することはないと聞きほっとする。

 戦況は悪い。

 最初は優勢だった連合軍だったが、ここにきてモスやアラニア、フレイムでも内乱が起き、モスのマイセン公が国元に帰ってしまった上、アラニアでは国王カドモス7世が暗殺される。

 さらにマーモ本島から増援としてダークエルフの魔法戦士団が上陸し、国元に帰らず踏みとどまったフレイム王カシューがいなければ勝負はついていただろう。

 しかしフレイム軍のおかげでなんとか膠着状態にもちこみ、カーラの支援がないとわかったヴァリス軍はついに決戦を決意する。

 

「その戦、わたしも参加させてください、と申し出るよ!」

「じゃあカシューが発言する。『彼は聖騎士団だが、騎士としての集団戦よりも冒険者として単独で戦うことに慣れていると思います。ぜひ私の傭兵隊に加えたいのだが』と、ファーンに進言するね」

「ぜひ!」

「あぁ、それからエトにはファリスの大司祭ジェナードが宮廷付き司祭になってくれるように申し出が来ているし、スレインにはカシュー王が宮廷魔術師に、とお誘いがある」

「もちろんぼくは受けるよ」

「スレインは、すくなくともギムの目的を果たしてあげるまではどこかに仕えることはできないですねぇ」

「カシューはそれは残念、というけど、目的のある冒険者を縛ろうというつもりはないらしくて素直に引き下がる。『だがお前たちのためになら、ブレードの門はいつでも開いているぞ』とみんなに笑顔を向ける」

「ほう」

 

 

 かくして、ヴァリスの西の平原で、ついにヴァリスの本軍とマーモの主力がぶつかることになる。

 指揮をとるのはかの英雄王ファーン。そして暗黒皇帝ベルド。

 魔神戦争の二人の英雄が干戈を交えたこの戦を、後の世はこう呼んだ。

 "英雄戦争”と。

 

 

 軍団同士の戦いは単純にユニットごとにD20+戦力で判定。

 もし部隊がプレイヤーキャラクターと交戦した場合、そのユニットはばらばらになって個別に戦闘を開始するという設定。

 なお、ユニットの移動はプレイヤーキャラクターがアクションを消費し、キャラクターのかわりにユニットが移動する。

 必須Todoを達成する必要があるため、ファーンとベルドが接敵する必要があったり一定数の交戦が行われる必要がある。

 もちろん、プレイヤーキャラクターが一つ以上の舞台を壊滅させる必要もある。

 

「あ! アシュラムだ!」

「まだ名もなき近衛騎士だったころのアシュラムだね。ソウルクラッシュも持ってないし」

「よし、勝負だ!」

 

 

 パーンらはアシュラム率いる暗黒騎士団に攻撃をかける。

 近衛騎士団は戦場にあるほとんどの敵よりも強力な恐るべき敵で、アシュラムもまたその一員だが……。

 

 

「ファリスのファイアボール!」

「古代語のファイアボール!」

「なんでアシュラムはセーブに一回も成功しないの?!」

 

 

 パーンの剣や魔法で削られたアシュラムは、ついに倒れる!

 

「うーん。とどめさしとかない?」

「え? ええー!! やだやだ! アシュラムが死んじゃうなんて!」

「いや、ここでアシュラムを倒しておいたほうが未来のロードスのためだ。とどめの一撃」

「ああー!」

 

 ダークエルフのピロテースの目の前で暗黒騎士アシュラム、死す!

 

「あああー!!!」

 

 そのころ、戦場中央では、ついに英雄王ファーンと暗黒皇帝ベルドの舞台が相対していた……。

 

 一騎打ちはそれぞれ判定を行い、達成値の差によってダメージを計算し、ゲージを左右に移動する形式で行いました。

 一騎打ちに参加する者に応じて特殊能力があり、ベルドのソウルクラッシュは毎回引き分けの時に必ず1マスのダメージを与えたりします。

 

「必須Todoによると……ファーンとベルドは死ななきゃならないんだよね」

「うっかりファーンが勝っちゃうと……」

「アシュラムがいないからもうだめだな……」

「だからアシュラム生かしとけばよかったのにー」

「よし、ベルドの判定にインスピレーションを投げよう。頑張れベルド」

 

 暗黒皇帝ベルドと英雄王ファーンの一騎打ちは、宿敵同士のものとは思えない、まさに友同志の稽古のような打ち合いだった。

 

「ベルドもフラウスに託された、ロードスに平和を、という願いを実行してるだけだもんね……」

「ファーンもそうだよ。その二人の願いをもてあそんだカーラが悪いとはいえ、カーラもロードスの平和を願ってるんだよね」

「悲しい戦いだなぁ。ベルドにインスピレーション」

 

 永劫とも思われたその戦いも、ついに終わりの時を迎えた。

 魔剣によって若さを維持していたベルドが、やはり持久力で上回っていたのだ。

 ついに友を刺殺したベルドは、勝ち誇るでもなく天を仰いだ。

 悲痛な声がヴァリス側から上がる。あわや乱戦、という中で、フレイムの傭兵王カシューがベルドに肉薄し、一騎打ちに持ち込むことに成功する。

 再び英雄同士の一騎打ちが始まった。

 

「えー。カシューはソリッドスラッシュに加えて、『どこからともなく矢がとんでくる』能力を持ちます」

「あれだ!」

「これを使うと一回だけベルドのD20の出目が1になります」

「卑怯!」

「これ、カシュー負けたらどうなるの」

「パーンの出番じゃない?」

「無理だー!!」

 

 ソードマスターと呼ばれる傭兵王は、屈強なベルドを相手に一歩も引かない戦いぶりを見せる。

 そして……。

 

 

「あ! カシューが勝った! 矢も使わずに勝った!」

「これどうなるんだろう。カシューはベルドを卑怯なことして殺しちゃったってのがずっとしこりになって残る感じだったじゃない? でも正々堂々倒しちゃったら……」

「ベルドも堂々と倒されたなら納得感ありそうだよね」

「アシュラムもいないしな……」

「うーん。じゃあこういうのはどうかな」

 

 カシューの魔剣が、ついに暗黒皇帝ベルドの心臓を貫いた。

 ベルドの口から血があふれる。

 偉大なる英雄を倒した若き王。かつての英雄は、倒れざまその王の胸ぐらをつかむと引き寄せて最後の言葉を残した。

「ロードスに、究極の平和を、託したぞ……」

 その手から魔剣魂砕きが落ち、崩れ落ちる暗黒皇帝。

 ファーンとベルドという二人の英雄が倒れ、傭兵王カシューは跪いて二人をたたえ、そして残された魔剣ソウルクラッシュを手に取った……。

 

「あー! アシュラムが死んでるからソウルクラッシュがカシューのものになるのか」

「フラウスから続く平和を求める呪いが、カシューのもとに行くんだよ。正々堂々倒したなら引け目もないし、混乱のロードスに平和をもたらせるのはやっぱフレイムしかないはず」

「この戦いで勝利を決定づけたのはカシュー王の剣だしね。ヴァリスも大きなことは言えないよね」

「覇王カシューになるのか!」

 

 ベルドという強力な指導者を失ったマーモ軍は散り散りになって潰走する。

 大きな犠牲を出しつつも、ヴァリス・フレイム連合軍は勝利を収めた。

 

「カシュー王は兵をまとめて一度フレイムに帰ることになる。その前に君たちが生きていたことを喜んで、『この戦いで失ったものは多かったが、しかしお前たちと出会えたのは唯一の収穫だった。いつでも会いに来てくれ。歓迎する』と言い残して去っていく」

「見送るしかない……。みんな平和を求めてたのにね……」

「死屍累々の戦場で叫ぶのやりたい。『カァラァァー!!』」

 

 戦争は終わった。

 しかし、パーンたちにはまだやることがあるのだ……。

 

▼チャプター9:決戦! ルノアナ湖

 

 戦争が終結し、ひと月ほどが経っていた。

 パーンはヴァリスの聖騎士の一員として、エトは宮廷付き司祭として忙しい日々を送っていたが、人々が落ち着きを取り戻したころ、ついに六人はカーラの隠れ家であるルノアナ湖へと向かった……。

 

「道中で髪飾りを作っておくぞ」

「少し地味ですねぇ」

「フン。これはわしの最高傑作だ。飾り物に大事なのは調和じゃよ」

 

 灰色の魔女カーラは、ルノアナ湖にある遺跡でパーンたちを待ち受けていた。

 彼女は甲冑に身を包み、手にメイスを携えている。

 

「あ! プレート着てる!」

「習熟してれば呪文失敗率とかないからなぁ。レイリアが習熟してればいいのか」

「ところでサブTodoに『ギムが死亡する』があるんだけど……」

「ギムが死ぬとチームインスピレーションをもらえます」

「ひどい!」

 

 

 ついに最後の戦いとなった。

 カーラは呪文の準備を始める。スレインの手にあるワンドを振るえばすべての魔法をかき消すことができるが……。

 

「イニシアチブにインスピレーションを使いますよぉ……。出目1と2!」

「よーしカーラは何の魔法を使おうかな!」

「ひー!」

「拡大したファイアボールで行こう!」

「わ、わたしはカウンタースペルをつかいますよぉ! 出目次第ですけど一回くらいなら防ぐ!」

「うぐぅ!」

 

 その隙にウッド・チャックは外周部を使いカーラに忍び寄る。

 パーンとギム、ディードリットはカーラに接近攻撃をしかけた。

 そこにようやく魔法封じのワンドが起動される。

 カーラは魔法が封じられたことに気づき、ワンドを破壊するために意識を集中する……。

 

「カーラの魔法封じ・破りは2ターンで完成するからね」

「それまでになんとかウッド・チャックが……攻撃! クリティカル!」

「え?!」

 

 呪文に集中しようとしていた攻撃を受けたカーラはパーンの攻撃を受け、うっとうめいて倒れた。

 

 

「あ! て、てかげんてかげん!!」

「次のイニシアチブはわたし! ディードリットはカーラのサークレットを奪う!」

「まだ魔法封じが効いてる! これがウォートの本来想定した使い方だよね。小説とかでは早々に破られちゃっただけで」

「う、うーん……。どうしよう……いや、やるか!」

 

 ディードリットが掲げたサークレットは、忍び寄っていた盗賊ウッド・チャックの手によってすり取られる。

 ウッド・チャックはそのサークレットを見つめると、じりじりと後ろに下がろうとした。

 

 

 

「このサークレットは……オレのもんだ」

「何を言ってるんだウッド。早くそいつを壊しちまえ!」

「いいや、だめだ。オレは今までずっと牢獄の中だった。おめぇらの仲間になってからも誰からも顧みられない。オレがこのサークレットを支配してやる。そしてジェイ・ランカード様の名前をロードスじゅうに響かせてやるんだ」

「やめろウッド! え?! 次のイニシアチブ誰だっけ?!」

「わしじゃよ。どうしよう……」

「攻撃されても一発で死にはしないからな。スレインやディードの魔法も封じられてるし、逃げ切れるぜ」

「よし、わしは斧を捨ててウッド・チャックに組み付くぞ!」

「あ! 組み付きか!」

 

 ドワーフの小さいが頑強な体が、盗賊のひょろりとした長身にぶつかり、ふたりは組みあい、もつれた。

 その手からサークレットが転がり落ちる。

 

「パーンが奪う! そしてそれを叩きつけて壊す!」

「あああ……なんてことしやがる! オレの、オレの希望だったんだ! 絶望!」

 

 ルノアナ湖に静寂が戻ってくる。

 ロードスを支配していた灰色の魔女カーラは、ついに滅びたのだ。

 

▼チャプター10:灰色の魔女

 

 パーンたち六人の旅は終わった。

 英雄戦争の影でおきた、このロードスを救った戦いは、史書に残ることはないだろう。

 だが彼らは確かに、魔女の手からロードスを救ったのだ。

 ここから、ロードスの歴史は生き残った人々の手によって描かれてゆくことになる。

 古代の魔術師によるものではなく、生きた人の血と意志で。

 

 

 魔法使いスレインとドワーフの戦士ギムは、カーラに支配されていた娘レイリアとともにターバへと戻ってゆく。

 

「レイリアさんはどうですか?」

「彼女はカーラだったころの記憶を全部持っているよ。でも助けてくれたことには感謝する。『ですが、どうやって償えばよいのでしょう……』」

「生きることですね。と答えます」

「ギムは髪飾りをレイリアにつけてあげます。これで、すべてが収まるところに収まる。調和じゃよ」

「あ! あれやっていいですか? スレイン・スターシーカーはそれを見てこう思います。『僕は、星をみつけたのかもしれない』」

「これこれ!」

 

 

 一方の聖騎士パーンと司祭エトは、ヴァリスへと帰還する。

 

「ディードリットはどうしようかな……」

「じゃあ、パーンはディードリットに結婚を申し込みます!」

「え! 男らしい!」

「『ディードの永遠の時間の中では一瞬の時間かもしれないが、その時間を俺にくれないか』」

「おー」

「ディードリットは……『この若者の一生を見送るくらいは、してもいいな』と思って結婚の申し出を受けます!」

「おー」

 

 ソウルクラッシュを得た覇王カシューが再びロードスに戦乱を巻き起こす。

 その時彼に対抗するのは、ローフルブレードを受け継いだ聖騎士パーンなのだろう。

 

「あぁ、ヴァリスは聖騎士の団長が王様になるけど、それの嫁がエルフだとそうもいかないから、フィアンナの夫エトをっていうのはいいかも」

「国内で聖騎士派と神殿派で割れるタネにならないようにできるもんね」

「でもあの憧れだったカシュー王と戦うのか……」

 

 

 

 盗賊ウッド・チャックは絶望した。

 己の劣等感をむき出しに見せてしまった以上、もはやパーンたちと一緒にいられない……。

 

「じゃあ……ウッド・チャックはカシュー王のもとに走る。『オレをまともに扱ってくれた王様はあいつだけだった。カシューならきっと、オレをうまく使って浮かび上がらせてくれるに違いない……』と考えてね」

「なるほど! じゃあ覇王カシューの下で暗殺とか諜報に従事してその覇道を支えてゆくと……」

「そのカシューの傍らに、アシュラムの仇を討つためにパーンやヴァリスを狙うピロテースも従っているとかどうかな」

「あー! よさそう!」

「アラニアやモスも戦乱の中だし、カノンだって空白のままだし……こりゃ戦乱は続くなー」

 

 

 

 ロードスに究極の平和を。

 その願いは純粋なものだった。

 みなそれを願っていた。

 願いは時として呪いとなる。

 願いという呪いは、魔法の呪縛などよりもよほど強く、人の心を支配する。

 

 ロードス島に巻き起こった戦乱は終結し、平和は取り戻された。

 しかしそれは、ロードスに究極の平和を求める覇王カシューがその野心を燃やすまでの、つかの間のものなのだ。

 

 

 

 DAC2019 ロードス島戦記 〜灰色の魔女〜

 −完−

 

 

 

 と、いうわけで、DAC2019でプレイしたロードス島戦記シナリオのプレイリポートでした!

 ロードスを覆うカーラの支配は打ち破れましたが、ロードス島の戦乱は収まる気配がありません。

 いっそこの先もプレイしてみたくなりました!

 今回はシステム的なものとかデータや戦闘バランスよりもお話や世界に入り込むほうを優先したので、次何かやるときはカリカリのやつにしようかなーという感じ!

 

 今回は素晴らしいプレイヤー諸氏に恵まれ、最高のロードス島戦記をプレイすることができました!

 ありがとうございました!

 

 

 

パーン:シンさん

エト:きいけんさん

ディードリット:みのくばさん

スレイン:Yoshiさん

ギム:マーさん

ウッド・チャック:Greysnowさん

 

DM:盗り夫

| プレイリポート | 22:37 | comments(2) | - | pookmark |
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コメント
ウッドチャック楽しく遊ばせてもらいました。
輝かしい2日間でした。ありがとうございます。
| Greysnow | 2020/01/13 5:02 PM |
ゲームの会が中止中で、読み直しました。
コメントいれます。

全体的に非常に面白い。
ロードス島戦記の主人公達をやりたい人が集まっているので、変なちゃちゃを入れる人もいないと思われます、それが良かったのかと。
カーラのサークレットを壊したのはゲームのノリとしては良いのですが、本来はアーティファクト相当なのではないですか。だから小説でレイリアが自分が死ぬときにコールゴッドで消滅させようとしたんじゃないですかね。
| ガンちゃん | 2020/04/12 4:32 PM |
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